2019.08.29
ラーヴァカメオ
これまでも、日本でも何度か流行したカメオ。
カメオの歴史は非常に古く、二千年に及びます。
そんな中、様々な素材で神話や権力者をモチーフにしたものが作られ、現代で主流の女性の横向きの上半身のモチーフが定着したのは19世紀の中頃と言われています。
カメオとは「浮き彫り」の技法の事で、ゆえに素材が何であれ全てカメオとなります。
ですから、アンティークの世界では、とてもバラエティ豊かな、芸術性の高いものを見ることができるのです。
その一つがラーヴァカメオ。
ラーヴァ(Lava )とは溶岩の事です。
あの、ポンペイの遺跡で有名なヴェスビオ山の溶岩をカメオに仕立てているのです。
それは、山への畏怖の思いもあったのでしょう。
柔らかく、層が無いため厚みを出せるので、宝飾品というよりは芸術品と呼ぶにふさわしいものも見られます。
カメオの世界は深く、他の装飾品に比べ分かりにくいと思います。
しかし、何よりも人間の手が造り出す繊細さ…作者の心を、ともすれば殺伐としてしまいそうになるこの時代だからこそ皆様にご覧いただきたいと思うのです。